野村不動産PMOのコラム

起業

個人事業主や法人として
起業するには?
手続き方法や資本金の有無など詳しく解説

#営業戦略 #スタートアップ

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  3. 個人事業主や法人として起業するには?

個人事業主と法人どちらで起業するべきか

新設される法人の数は、年々増加しています。
2021年の1年間には14万社以上の法人が新しく設立され、過去最多の件数を記録しました。

起業をする場合は2種類の方法があります。

  • ・個人事業主として開業する
  • ・法人として会社を設立する

個人事業主は、起業をしたい個人が事業主となり事業を経営する人を指します。
事業主さえいれば従業員などの有無は問わず、好きな規模や形で経営が可能です。

一方で法人化は、会社として起業・設立することを指します。
資本金の納付や法務局への登記などが必要となり、公的に法人として認められるのが特徴です。

下表の通り、どちらの方法にもメリットやデメリットがあるため、資金状況や事業計画などに合わせた選択が必要です。

メリット デメリット
個人事業主
  • ・開業手続きが簡単
  • ・税務申告が簡単
  • ・資本金が不要
  • ・法人よりも社会的信用度が劣る
  • ・融資を受けるのが難しい
法人化
  • ・社会的な信用がある
  • ・節税が可能
  • ・起業手続きに手間がかかる
  • ・税金・経理の処理が難しい
  • ・資本金が必要になる

個人事業主は、開業届を出すだけで起業ができるほか、資本金も必要としません。
当然ながら、事業内容の検討など事前にやらなくてはならないことは少なくありませんが、手続き自体に手間はかかりません。税務面も青色申告のみで済みます。

しかし個人事業主は、法人と比較すると社会的な信用度が劣るデメリットがあります。
それに伴い、まとまったお金が必要になっても融資を受けにくい傾向にあります。

一方で法人化は、手続き自体に手間はかかるものの、社会的な信用は得やすく、金融機関での融資が受けやすいほか、株式発行による出資も受けられます。

また、一定の条件を満たせば、赤字額の繰り越しや給与所得控除なども利用できるため、節税効果が高いメリットもあります。

個人事業主として開業後に法人化することでリスクを軽減する方法も

法人化には手間がかかり、一定の資本金も必要になります。
そのため、法人として起業するのが難しいケースも考えられます。

しかし個人事業主は法人化への手続きによって、いつでも法人になることが可能です。
一度、個人事業主として起業して事業が落ち着いてから法人化する方法も選択できます。

個人事業主から法人化する際には、一定額以上の利益があるケースがおすすめです。
個人事業主のままで利益が高くなると、収める税金も高くなります。
法人化によって変動する税負担についてあらかじめ算出しておくと、タイミングを決めやすくなるでしょう。

※資本金とは、会社の設立や増資の際に、出資者から集まったお金や経営者の自己資金など、会社を運営するにあたって元手となる資金のことを指します。

個人事業主として起業するための手続き

個人事業主での起業をしたい人に必要な手続きは、以下の2つです。

  • 1. 必要書類の作成
  • 2. 税務署へ開業届の提出

基本的に個人事業主の場合には、必要書類を準備し、税務署へ開業届を出すだけで起業ができます。

必要書類の作成

個人事業主として開業する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」の作成・提出が必要です。これが開業届にあたります。

税務署に出向くか、国税庁のホームページからダウンロード・印刷することで取得できます。書面への主な記入事項と、必要書類は以下の通りです。

記入事項
  • ・事業主の個人情報
  • ・マイナンバー
  • ・届け出の区分
  • ・事業内容
  • ・給与等の支払い状況(従業員がいる場合)など
必要書類
  • ・本人確認書類(マイナンバーが記載された住民票、運転免許証、通知カードなど)

税務署へ開業届の提出

開業届は税務署へ提出します。
郵送での届け出も可能ですが、本人確認書類の写しを同封する必要があるため注意しましょう。
なお、開業届は事業開始から1カ月以内の提出が定められています。

もし、青色申告で3年間の赤字繰り越しができる優遇措置を利用したい場合は、事業開始から2カ月以内に「青色申告承認申請書」の提出が必要になります。
開業届が受理されれば、個人事業主としての起業の手続きは完了します

法人として起業するための手続き

法人として会社を設立する際の、手続きの方法について解説します。
会社設立は、個人事業主の開業と比較すると、提出が必要な書類も多く手間もかかります。

定款の作成と公証人による認証

まずは定款を作成し、公証人から認証を受ける必要があります。

定款とは、起業する会社の原則を記すものです。
会社の名前や事業内容の他、会社の規則や指針などを定めるもので、「会社の憲法」とも呼ばれています。

法人には、この定款に則った事業運営が求められます。

なお、定款は専用書類はなく、必要事項を記載して個人で作成するものです。
定款への記載内容は、以下の3つに分かれます。

  • 絶対的記載事項:定款に必ず盛り込む必要がある情報
  • 相対的記載事項:記載しなければ有効性を持たない事柄
  • 任意的記載事項:盛り込みは任意の内容

各事項の内容は以下の通りです。

①絶対的記載事項 ②相対的記載事項 ③任意的記載事項
  • ・商号
  • ・本店所在地
  • ・事業目的
  • ・出資金額
  • ・発起人の氏名・住所
  • ・株式の譲渡制限
  • ・株式発行の定め
  • ・株主総会の招集通知時期
  • ・取締役会の設置
  • ・監査役の設置
  • ・役員任期
  • ・起業時の現物出資や財産引渡しについて
  • ・事業年度
  • ・株主総会の議長
  • ・役員数
  • ・株主総会の時期
  • ・基準日

定款の作成が終わったら、内容に誤りがないか公証役場から認証をもらう必要があります。
認証には以下のものを用意して、会社を設立する都道府県の公証役場へ出向きましょう。

  • ・定款(3部)
  • ・発起人の実印
  • ・発起人の印鑑証明(3カ月以内発行)

また、認証には以下を目安に費用が発生します。

資本金の払い込み

次に、定款に記載した資本金の払い込みが必要になります。
一時的に発起人の個人口座へ振り込み、会社設立後、資本金を法人口座へ移動させるのが一般的です。

なお、払込時には以下の点に注意しましょう。

  • ・発起人が自分名義で振り込む
  • ・振り込みをした通帳のコピーを取っておく
  • ・振込証明書を作成する

発起人が会社のためのお金を振り込んだことがわかるように自分名義にすること、振り込みの履歴として通帳をコピーする必要があることなどが挙げられます。

振込証明書を作成したら、通帳のコピーと保管しておきましょう。

法務局で設立登記

次に法務局へ法人を登記する必要があります。
要になる書類は以下の通りです。

  • ・登記申請書
  • ・定款
  • ・印鑑届出書(会社)
  • ・発起人の決定書
  • ・就任承諾書(代表取締役・取締役)
  • ・印鑑証明書(代表取締役・取締役)
  • ・本人確認書類(代表取締役・取締役)
  • ・資本金の払込みを証明する書類
  • ・登記内容を保存したCD-R

登記は法務局へ出向いて直接申請するか、郵送で申請が可能です。
ただし、資本金の振り込みから2週間以内と定められているため、期日に注意が必要です。

原則として代表取締役が登記申請を行いますが、委任状があれば代理人に申請してもらうことも可能です。
内容に不備がなければ、登記は10日ほどで完了します。

税務署や役場へ法人設立の届け出

登記を完了すると法人として起業したことになります。
そのため、法人として設立したことを税務署や役場などへ届け出ることが必要になります。

各所へ届け出るためにまずは法務局から以下の3つの証明書を取得しましょう。

  • ・登記事項証明書交付申請書
  • ・印鑑カード交付申請書
  • ・印鑑証明書交付申請書(会社)

これらの登記情報、印鑑情報をもとに、下表の通り法人設立の届け出を進めます。

届出先 必要書類 期限
税務署 給与支払事務所等の開設届出書 設立1カ月以内
法人設立届出書 設立2カ月以内
市区町村役場※1 給与支払事務所等の開設届出書 市区町村により異なる
設立1カ月以内
都道府県税事務所 法人設立届出書 都道府県により異なる
定款・登記事項証明書交付申請書のコピー

※1)届出は市区町村により提出義務が異なります。

従業員を雇わない場合は税務署、市区町村役場、都道府県税事務所への届け出のみになえります。

なお、税務署などは一律で期限が定められていますが、市区町村役場や都道府県税事務所などへの提出義務は所在地により異なるため、あらかじめ確認をしておきましょう。

従業員雇用に伴う社会保険の手続き

法人には、社会保険への加入義務があります。
また、従業員を雇った場合も労働保険への加入が必要です。社会保険の手続きに関して、必要な書類と提出期限は下表の通りです。

届出先 必要書類 期限やタイミング
年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届 設立から5日以内
定款・登記事項証明書交付申請書のコピー
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
労働基準監督署
(従業員を雇用する場合)
労働保険保険関係成立届 雇用翌日から10日以内
労働保険概算保険料申告書 雇用翌日から50日以内
就業規則届 従業員が10人以上となった時
時間外労働・休日労働の協定届 時間外労働・休日労働が必要になったら
適用事業報告 雇用直後
ハローワーク
(従業員を雇用する場合)
雇用保険適用事業所設置届 雇用翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格取得届

起業前に必要となる準備

煩雑な起業手続きを円滑に進めるためには、事前の準備をきちんと行うことが大切です。
特に事業計画の策定や、営業戦略に関連する計画は、起業後に事業を推進していく上で重要です。ここからは、起業前に進めておきたい準備について解説します。

設立する会社に関する基本事項の決定

法人として起業する場合、定款の絶対的記載事項に関する情報は、あらかじめ決めておいた方が円滑な起業手続きにつながります。

絶対的記載事項の決定には、それぞれ以下のような意味があります。

商号 看板となる会社名を決める
事業目的 事業内容や将来的な事業構想を制定する
本店所在地 会社の住所を定めるため
発起人の氏名・住所 定款に捺印した人の情報
出資金額 会社の資本金

特に、一定の基準をクリアしながらも事業内容がイメージできるような商号の検討や、登記において重要な事項となる事業目的は、入念な検討が必要になります。

商号を決定する際には、既存企業と誤認させたり事業内容を誤認させるような商号は、不正競争防止法に抵触してしまう恐れがあるため注意が必要です。

また、事業目的は登記した内容以外の事業を行う際には登記変更が必要になってしまうため、将来的な構想を踏まえた検討が必要になります。

事業計画や営業戦略の策定

起業形態を問わず、事業計画と営業戦略の策定は起業において非常に重要です。
起業後の動きについて、明確になるだけでなく、事業計画と営業戦略を決めていくうちに、課題なども可視化されます。

事業計画の検討について、押さえておくべき主なポイントは下表の通りです。

ポイント 内容
事業内容 具体的な起業する事業内容を決める
顧客・ユーザー像 事業でサービスを提供する顧客層を調査、策定する
競合他社 同じ業界で競合他社がいるか、また強みは何か。自社の優位性を把握する
必要になる費用 起業にかかる総体的な費用を把握する
事業の損益予想 起業後に予想できる損益で会社が運営できるか検討

それぞれの項目の解像度が上がるほど、事業も推進しやすくなります。

起業資金の調達や法人口座の開設

起業をするにあたっては、資本金の調達も重要です。
自己資金だけでは不足してしまう場合、融資や出資を受ける形で調達するケースも少なくありません。

従来は、金融機関で融資を受けるの方法のみが一般的でしたが、現在ではこれに加えてクラウドファンディングの市場も大きくなっており、資本金を調達する方法は多岐にわたります。

なお、起業資金を集める際には、法人口座の開設も並行する形が望ましいです。
法人口座によって社会的な信用を得やすくなるため、融資を受ける際などにもおすすめです。ただし、口座開設の審査には時間がかかるため、法人登記後、速やかに手続きをしましょう。

法人の場合はオフィスに関する検討も必要になる

法人として起業する場合はオフィス(事務所)がどこにあるか登記しなければいけません。
主なオフィスの選択肢には、以下の4つが挙げられます。

  • ・自宅オフィス:自宅をオフィスとする方法
  • ・バーチャルオフィス:登記上の住所を借りてオフィスとする方法
  • ・レンタルオフィス:小さなデスクスペースを1部屋借りる方法
  • ・賃貸住宅・マンション:住宅を1部屋借りてオフィスとする方法

オフィスは独立したものを持っているほうが社会的な信用度が高い傾向があります。
実際に自宅オフィスやバーチャルオフィスは、事業によっては融資審査で不利になったり、取引先も慎重になりやすい場合があります。

また、賃貸住宅やマンションの1室を借りて、オフィスとすることも可能です。
ただし、住宅専用とされている場合、オフィスとして利用することはできないためあらかじめ確認しておく必要があります。

実現したい事業を見据えた適切な起業手続きを

起業の手続きは、個人事業主か法人かによって大きく異なります。

特に法人化は手続きに手間がかかりますが、必要な書類などについて1つずつ確認しながら進めていくことで、円滑な起業手続きを進められます。
事業計画や内容などを明確な形にできたら、早めに必要な書類・資金集めをおこない、起業に備えましょう。

※記載の内容は2023年2月時点の情報です。
起業の手続きを行う際は、必ず公的機関の最新情報をご確認ください。

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