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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム 都市部で進む不動産開発、
オフィス建替えのハードルはけっこう高い?

金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子

近年、大都市の中心部では、建替えや再開発が盛んに行われている。2018年から2022年までの5年間に東京23区で新たに供給される大規模オフィスビルの面積は約501万㎡で、これは東京ドーム107個分の広さに相当する。

建物を建替えると賃料収入が増加し、また収入の安定度の高まりなどにより不動産のキャップレート(評価利回り)も低下することから、新築された建物の評価額は旧建物の評価額を上回る。しかし、建替えには立退費や解体費、設計費、建築費など、多額のコストが発生するため、築古となった建物がすべからく建替えられるわけではない。

では、建替えによる収支(開発利益)は、どのようにして求めればよいだろうか。例として、次のような計算式が考えられる(図表1)。

「開発利益(R)」は「建替えによる付加価値」から「開発コスト」を控除して求めることができる。「建替えによる付加価値」は「新建物の評価額」から「旧建物の評価額」を引いた金額(a-b)、「開発コスト」は「立退費」や「旧建物の解体費」、「新建物の建築・設計費」、「その他費用」を合計した金額(c+d+e+f)で、付加価値の増加額が開発コストを上回れば開発利益はプラスとなる。

それでは、「新建物の評価額」が「旧建物の評価額」の何倍になれば開発利益はプラスになるのであろうか。実際の開発に要する金額はそれぞれの不動産によって異なるが、例として、500㎡の土地に建つオフィスビル(地下なし、満室)の建替えを想定して計算してみよう。 前提条件として、容積率(敷地面積に対する建築延べ面積の割合)を500%、「立退費」を1億円(1フロア当たり)、「旧建物の解体費」を15万円/坪、「新建物の建築費」を130万円/坪、「設計費」を5%(総建築費比)、「その他費用(予備費)」を15%(総建築費比)とした。また、「旧建物の評価額」の前提として、賃料を16,000円/月坪、不動産の還元利回り(キャップレート)を5.0%とした(図表2)。

結果は図表3で示す通り、「新建物の評価額」が「旧建物の評価額」に対して2倍に増加しなければ開発コストを賄うことができないこととなった。建替えのハードルは低いものではないといえる。建替えを行うことでトータルの損益(以下、開発利益)がマイナスになると判断した場合、建物所有者にとっては建替えをしないで既存の建物を使い続けるという判断もありうる。

現在、オフィス賃料が上昇し不動産のキャップレート(投資家要求利回り)も低下する局面で、不動産開発を検討するには良い環境にある。大都市中心部ではディベロッパーが新建物の価値を高めるため工夫を凝らした様々な開発計画をたてており、オフィス以外への用途や複合用途への建替えも多い。今後も都市部の人口集中が加速するなか、時代のニーズを反映した不動産開発が行われて、街の新陳代謝と活性化が一層進むものと思われる。

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