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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム Jリート市場の動向
~2018年の振り返りと今年の注目ポイント~

金融研究部 主任研究員 岩佐浩人
執筆者 金融研究部 主任研究員 岩佐浩人

まず、昨年のJリート(不動産投資信託)市場を振り返ると、4%台の高い分配金利回りや良好な不動産ファンダメンタルズが評価されて、東証REIT指数は2年ぶりに反発しました。国内の株式市場が米国と中国の対立による収益環境の悪化を懸念し10月以降下落したのに対して、業績面で不安の乏しいJリート市場はリスクマネーの逃避先となり高値圏での推移となりました(図表1)。
また、昨年は市場全体で4社の新規上場と約1.8兆円の不動産取得により、上場銘柄数は61社・運用資産額は19兆円に拡大しています。

図表1:東証REIT指数とTOPIX(17年12月末=100、12/18時点)

需給面では、海外投資家による積極的な投資が市場の上昇を牽引しました。東京証券取引所の投資主体別売買統計によると、昨年1月から11月までの買越し額は累計で2,906億円となっています(図表2)。米国ではFRBによる政策金利の引き上げが継続的に行われており、米国の1年国債利回りは2.7%へ上昇。国内の短期金利がマイナス圏で推移し日米の短期金利差が拡大するなか、為替ヘッジ後のJリートの利回りは上昇しており、海外投資家にとってJリート投資の魅力度がさらに高まっているようです。

図表2:海外投資家の買越し額と米国金利の推移

続いて、今年の注目ポイントとして「3点」取り上げたいと思います。
1つ目は10月に予定される消費税率の引き上げです。ニッセイ基礎研究所では、消費増税のインパクトは軽減税率の導入などから前回時より小さくなるとみていますが、下期にかけて景気の減速は避けられず、2019年度の実質GDP成長率を0.8%と予想しています。来年の東京オリンピック開催を前にして景気拡大の持続性が試されることになります。

2つ目は海外情勢の不確実性の高まりです。米中貿易戦争の激化、FRBによる追加利上げ、英国のEU離脱、中国景気の減速などグローバル景気を下押しする懸念材料が山積みです(図表3)。そして今年もまたトランプ大統領の発言に翻弄される1年となりそうです。

3つ目は、東京オフィス市場の動向です。三鬼商事によると、東京都心5区の空室率(11月)は1.98%に低下しました。企業のオフィス拡張ニーズが強いほかシェアオフィスなど新たな借り手の台頭もあって需給の逼迫した状況が続いています。一方で、来年にオフィスの大量供給を控えるなか企業の賃料負担力にも限界があるため、年後半にかけて空室率の上昇や賃料がピークアウトする可能性もあります。

このように、Jリート市場を取り巻く環境は不透明さを増しています。J-REIT各社にはこの難局を克服すべく、安定したインカム収益を生み出す質の高いポートフォリオの構築と運営を期待したいと思います。

図表3:2019年の主なスケジュール(見込み)

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