#5 テレワーク時代のオフィス戦略とは

#5 テレワーク時代のオフィス戦略とは

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  • #5 テレワーク時代の
    オフィス戦略とは?そのために必要な力のひとつこそ、「オフィス力」。

住宅は、働く場の「理想」ではない

緊急事態宣言は解除されましたが、テレワークを継続されている企業も多いのではないでしょうか。テレワークが加速する中、経営者の一部では「オフィス不要論」を唱える企業も出現しています。しかしながら今後は、「オフィス」、「サテライト型シェアオフィス」、そして「自宅」を上手に使い分けることが、企業にとって重要だと私たちは考えています。

「在宅勤務」については、「通勤時間の負担が軽減」「業務効率があがった」など、肯定的な意見が多いようです。しかしながら一方では、意思疎通や連絡などの「コミュニケーション面」、会社でないと閲覧できない資料やデータがあるなどの「業務効率面」、さらには「仕事に専念できる物理的環境が自宅にない」という「環境面」が、国土交通省が実施した調査において、問題点として挙げられています。

■ テレワーク(在宅勤務に限る)を実施してみて問題があったこと (※出典:テレワーク人口実態調査 令和2年3月/国土交通省)

そもそも皆様は、ご自宅を選ばれる際に「働く場」としての機能や空間について、どの程度お考えになりましたか。むしろ「まったく考えなかった」方が大半なのではないでしょうか。さらにいえば住宅は、「働く場」として商品設計されていないことが多いでしょう。それでは業務にあたってさまざまな問題が生じたり、ストレスが発生するのは当然と言えます。

従来のオフィスデザインが機能しなくなっている時代

「在宅勤務」に弊害がある一方、従来のオフィスデザインが機能しなくなっていることも事実ではないでしょうか。同僚と並んだ自席、いくつかの会議室、あとは休憩室があるだけ。一人で集中できる場所やリラックス・気分転換できる場所、特定のメンバーで共同作業するための場所等が用意されているオフィスは多いとはいえないでしょう。それならば、自宅やカフェなど、より自分に合った場所を「働く場」として選ぶ方が多くなるのも当然です。
これからは、働く方一人一人がさまざまな「働く場」を使い分けることを前提に、社員にとっても企業にとっても効果的なオフィスを選ぶ企業こそが企業価値を向上できるのではないでしょうか。

オフィスでしかできないコミュニケーションから、生産性は向上する

「これからのオフィス像」について、前述した国土交通省の調査を参考に考えると、オフィスには、「社員がコミュケーションを図るための」場であることがわかります。
それでは、オフィスであることから生まれるコミュニケーションについて考えてみましょう。会議や報告はオンラインでも成立します。しかし私たちはむしろ、ランチを共にしたり、エレベ―ターで出会った社員にふと最近の出来事や愚痴を話したり、業務とは直接関わりのないところでのコミュニケーションからも仕事へのモチベーションやアイデアを得ることがあったのではないでしょうか。

そうした、テレワークでは難しい何気ないコミュニケーションから構築される社員同士の関係性が、困った時や業務にいきづまってしまった時の助けになっていたのではないでしょうか。自宅やカフェは「作業を行う場」にはなり得ても、仕事を行う上での基礎となる、社員同士の関係性を築くことには適していません。それらが築きやすいオフィス環境の構築が、業務効率や生産性、アウトプットの質等を向上させていくのではないでしょうか。
業務の助けになる自然なコミュニケーションを促進するためにも、これからのオフィス環境は、「自席と会議室があればよい」という考え方は成立しないでしょう。むしろ「在宅勤務のよさと、オフィスという空間で生まれるコミュニケーション機能や人間関係の形成機能を組み合わせる」、それくらいの発想転換が必要になります。

「生活空間」としての機能を大切にしたオフィスの時代へ

業務を行う場としてしかオフィスを考えることができず、従来の概念でサイズやグレードを選んでいては、加速するテレワーク時代の前でオフィスはどんどんその存在意義をなくしていくでしょう。社員は満員電車での通勤やメリットのないオフィス環境にストレスを抱き、やがてはモチベーションを失うことにつながりかねません。
前述したような事柄からさまざまな条件を考え合わせると、

  • ●「集中できる場とコミュニケーション性が高いエリアを使い分けられること」
  • ●「ワークスペースとは少しセパレートされた、プライベートの話もできる場があること」
  • ●「リラックスして気分転換できるエリアがあること」

ーそんな条件を備えた新しいオフィス像見えてきます。つまり、「オフィス」ならではのグレードやセキュリティ・機能性を備えながら、「住宅」のような側面も併せ持っている、これからのオフィスにはそんな特徴が必要なのではないでしょうか。
オフィスは本来、「業務を行う」以外にも、コミュニケーションはもちろん、同僚や上司から学びスキルアップできるなど、働く方にとってさまざまなメリットがあるべき場所。社員の育成・教育の場としても有効であると考えます。たとえばオフィスを「社員が自己をアウトプットする場」と考えれば、そこから社員は、部署を超えて様々な同僚の意見に触れ、スキルを高めていくことができます。

PMOのコンセプトのひとつに、「オフィスを単なる仕事場ではなく『生活空間』として考え、利便性・快適性を追求する」

という発想があります。
オフィスの意義が問われる今だからこそ、「生活空間」のような快適性を持ち、モチベーションを引き出せる場としてのオフィスが、企業力を推進する条件となります。そうした視点でのオフィス選びは、人材育成、業務イノベーションに取り組める環境づくりにつながり、採用も含めた優秀な人材確保にもつながるでしょう。

企業力に差をつける現代の大切なツール。それこそが「オフィス」なのです。

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