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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム 2020年、アートから東京が変わる

社会研究部
研究理事
吉本 光宏

東京五輪とまちづくり

東京2020大会まで1年となった。
前回の1964年大会では、東京は都市の骨格を変貌させた。首都高速道路や羽田モノレール、東海道新幹線などの交通インフラ、国立競技場や代々木体育館などの大型施設が建設され、戦後復興の象徴となっていった。また、神宮外苑と駒沢競技場とを結ぶ青山通り、玉川通りが整備され、その後246という愛称で東京南西部の発展を牽引することになった。
2020年大会に向け、現在も、都内各地で大型のオフィスやホテルの建設、再開発が続いているが、都市構造を大きく変貌させたという点では、1964年大会の方が、東京という都市に与えたハード面のインパクトは大きかっただろう。
しかし、2020年大会で、東京はソフト面で様々なチャレンジと向き合うこととなりそうだ。というのも、オリンピック・パラリンピック大会に合わせ、数々の壮大な文化プロジェクトが準備されているためである。一般にはあまり知られていないが、五輪はスポーツばかりか文化の祭典という側面も有している。オリンピック憲章に「オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求する」と明記されており、100年以上前、日本が初めて選手団を派遣した1912年のストックホルム大会から競技と並行して文化プログラムが実施されてきた。

2020年、東京の夏空に巨大な顔が浮かぶ

東京2020大会では、現在、組織委員会や文化庁、東京都などがアーティストや芸術団体、文化施設等と協力しながら、2020年の本格実施に向けて多彩な文化事業の準備を進めている。中でも注目したいのは、東京都が展開する文化プログラムTokyo Tokyo FESTIVALの中核事業として、昨年2月に行われた企画公募で採択されたプロジェクトである。
採択されれば、委託事業費として東京都から1件あたり最大で2億円が用意されるということもあって、応募総数は2,436件、国内のみならず海外28ヶ国・地域からも様々な提案が寄せられた。審査の結果、アーティストやクリエイターの斬新なアイディアに基づき、オリンピックでもなければ実現できないようなユニークな企画13件が採択された。
200倍近い倍率を勝ち抜いた企画の多くは、劇場や美術館などの文化施設ではなく、屋外で実施される。例えば、島嶼部や多摩地域を含め、東京全域を駆け巡るDANCE TRUCK TOKYO。日本を代表するコンテンポラリー・ダンサーたちが、トラックの極小空間を身体や光、音などで一体となる装置に変容させ、都市の風景を一変させようというものだ。
最先端の技術を駆使した壮大なメディアアートで知られ、リオ大会閉会式における東京2020大会プレゼンテーションの演出でも注目されたライゾマティクスは、新しい音と光を用いて大規模な参加体験型インスタレーションとライブイベントの実施を予定している。
そして、現代アートチーム「目 / [mé]」の“まさゆめ”は、世界中から募集した「実在する一人の顔」を巨大バルーンのような立体物にして2020年夏の東京の空に浮かべるというものだ(写真はイメージ画像)。6月末の締め切りまでに、日本ばかりか海外も含め1,000名以上から応募があった。今後、「顔会議」で議論・検討が行われ、アーティストによって一人の顔が選ばれる予定だ。

他にも、アルゼンチンの演劇、映像作家マルコ・カナーレの企画で、東京の街を舞台に高齢者の記憶と夢をベースにしたツアー型の演劇作品「The speed of light」、世界で活躍する日本人建築家とアーティストが都内に複数のパビリオンを設置する「パビリオン・トウキョウ2020」、そしてまだ内容が公表されていないシークレット企画など、今から楽しみなものが揃っている。
しかし、東京という都市の屋外空間を、提案どおりの用途に使用するのは決して容易なことではない。道路交通法や都市公園法をはじめとした各種法律や規制をクリアし、会場周辺の関係者の了解を取り付ける必要がある。競技期間中は厳重な警備がしかれるから、なおさらそのハードルは高い。つまり、ハードではなくソフト、都市のマネジメント力が問われる事業、それが文化プログラムなのである。
2020年、東京の夏空に浮かぶ巨大な顔は、アートを通して東京という都市のポテンシャルを、世界中の人々に示すことになるだろう。

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