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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム 訪日外国人観光客増加に伴う
国内宿泊施設や観光スポット最新動向

金融研究部
不動産市場調査室長
竹内 一雅

日本は世界有数の観光大国へ

訪日外国人旅行者数の増加が止まらない。2017年1月~2017年9月末までに日本を訪れた外国人旅行客は2,119万人に達し、前年同期比+17.8%の大幅な増加となった(図表1)。このペースで進むと2017年末には約2,850万人となる。2012年の836万人から5年で3.4倍の増加だ。2016年の日本の国際観光客数受入れ順位は世界16位だったが、2017年にはロシアやギリシャなどを抜き、12位程度にまで上昇すると考えられる。

外国人のホテル宿泊者数も大幅増加

訪日外国人の増加に伴い、外国人の宿泊者数も大幅に増加している。2017年7-9月の外国人の延宿泊者数は1,971万人と大幅に増加(前年同期比+12.7%)し、東日本大震災後で外国人の宿泊者数が少なかった2012年と比べると4.1倍の増加となった。2017年7-9月は日本人が前年比で減少(同▲1.2%)したが、外国人の増加がそれを補い全体の増加(前年比+0.5%)に貢献した(図表2)。2017年4月には外国人の宿泊者比率は全国平均で19.8%まで高まり、4月は大阪府で42.1%、京都府で40.2%、東京都で39.4%に達するなど、すでに外国人は日本の宿泊施設にとって無くてはならない顧客となっている。

外国人観光客は日本人に日本の良さを再発見させてくれる

山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園をご存知だろうか。新倉富士浅間神社の五重塔と富士山が同時に見えるという素晴らしい眺望の公園だ。この場所はタイ人の観光客がSNSで写真を投稿したことからタイ国内で有名になり、しだいに日本人の間にも知られるようになった観光地だ。伏見稲荷大社や厳島神社などの神社仏閣に加え、日本の風景や温泉、料理、城郭、美術館・博物館・水族館、国技館、着付け体験、工芸品作り、雪かき体験、おもてなしなどへの外国人からの評価の高さも、日本人に改めて日本の良さを再発見させてくれている。
来日する外国人観光客は神社仏閣だけでなく、USJやディズニーランド、東京タワー、スカイツリーなどの商業施設への訪問が特に多いことが明らかになっているが、同時に、「外国人に人気の観光スポット」調査(トリップアドバイザーによる)では、ふくろうカフェや、サムライショー、マジックバー、英語コメディクラブなどの小規模商業施設も高い評価を受けている。これらは、外国人観光客が夜に楽しめる英語などでのエンターテイメント施設が不足していることをも示しており、日本には外国人旅行者向けのビジネスチャンスがまだまだ多く残されていると考えられる。

ホテル開業ラッシュの中でユニークな宿泊施設も増加中

訪日外国人旅行者数の急増はホテルの建設・開業を急増させている。近年、日本では収益性の高さから宿泊特化型のビジネスホテルばかり増えてきたが、外国人ビジネスマンを意識した高級ホテルに加え、築古のオフィスビルを改装したカプセルホテルや町家を活用したゲストハウスといった比較的安価な簡易宿所、そして来年6月に解禁される「民泊」など、外国人宿泊者の増加に伴い、国内宿泊施設数の多様化も大きく進みはじめた。
こうした中で、今後のホテル間競争の激化を先取りしたユニークな宿泊施設も多く誕生し始めた。相対的に安価な宿泊施設だけでも、高いデザイン性が海外で評価されたカプセルホテル、五右衛門風呂のあるカプセルホテル、泊まれる本屋というコンセプトのホステル、美術作品に囲まれたホステル、保護猫シェルター付きゲストハウス、泊まれるお化け屋敷、旧刑務所の独房を活用したドミトリー(2020年開業予定)など様々だ。
訪日外国人旅行客の増加は、日本の観光や宿泊施設を大きく変えつつある。今後、国内だけでなく海外の観光地との競争が激化する中で、外国人観光客との交流が、これまで地域で未発見だった魅力の発掘や、ユニークなイベント・観光施設・宿泊施設などの開発などにつながることが期待される。

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