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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム コワーキングスペースの新たな動向
~WeWorkが注目を集める理由~

金融研究部 研究員 佐久間 誠
執筆者 金融研究部
研究員 佐久間 誠

オフィス市場では「コワーキングスペース」が一つのトレンドとなっています。特に米コワーキングスペース大手WeWork(ウィーワーク)は2018年2月から日本でサービスを開始することもあり、注目を集めています。同社は2010年に設立され、急速に事業を拡大し。現在20カ国64都市の200拠点で、17万人以上が利用しています。なお日本では、六本木、銀座、新橋、丸の内の4拠点を手始めに,10~20の拠点を開設する方針です。

しかし、コワーキングスペースという業態に目新しさはありません。東京には、すでに多数のコワーキングスペースがあり、英コンサルティング会社Instant Groupの調査によれば、コワーキングスペース数は、ロンドンやニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ規模です。それでは、WeWorkがここまで注目を集めるのはなぜでしょうか。

その最大の理由は、WeWorkがコワーキングスペースを「作業する場所」から、「人が集まる場所」に変えたためです。つまり、従来のコワーキングスペースは、大きなオフィスフロアを小分けすることで、手軽に利用できる執務空間を提供することが一般的でしたが、WeWorkはそれにメンバー同士を結びつけるコミュニティという要素を追加しました。このコミュニティは、メンバー同士の関係性を構築するだけでなく、求人や業務のアウトソーシングなどメンバー間で取引することを可能にします。これはWeWorkが、コミュニティを介してメンバー同士がお互いにサービスを提供しあう、ビジネス版のシェアリングエコノミーをつくりだしているとも言えます。

また従来のコワーキングスペースでは、スタートアップやフリーランスが主な利用者でしたが、WeWorkでは最近、大企業の法人メンバーが増加しています。2017年時点で、社員1,000人以上の法人メンバーは前年から倍増し、売上の25%を占めるに至りました。多数の大手企業がWeWorkを活用する理由も、このコミュニティに参加することだと言われています。WeWorkのコミュニティに参加することで、「スタートアップやフリーランスのデザイナー・クリエイターとの協業機会を模索している」「最新のテックやライフスタイルのトレンドを知りたい」「イノベーションに積極的である姿勢を示したい」など、大企業はオープンイノベーションの場として、WeWorkを活用しようとしているのです。

図表 1 オフィス賃貸、従来のコワーキングスペース、WeWorkの比較

図表 1 オフィス賃貸、従来のコワーキングスペース、WeWorkの比較

日本でも多くの企業でコワーキングスペースの活用が定着していけば、オフィスのあり方を変え、働き方の多様化を推し進めるドライバーとなることが期待されます。しかし、コワーキングスペースが日本でどれほどの広がりを見せるのかは未知数です。2018年はWeWork以外にも、日本の大手不動産会社や電鉄会社などもコワーキングスペース事業を拡大する方針を打ち出しており、今年が日本における「コワーキングスペース元年」となるのか、今後の動向に注目したいと思います。

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