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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム 2017年のオフィス市況と2018年の見通し

金融研究部 不動産市場調査室長 竹内 一雅
執筆者 金融研究部
不動産市場調査室長 竹内 一雅
2017年は全国でオフィス市況の活況が続く

東京を含め全国主要都市の賃貸オフィス市況は活況が続いています。空室率の低下が著しく、福岡市や札幌市では、東京都心5区を下回り、需給の逼迫から移転先の空室を見つけることが困難になっています(図表1)。大阪市や、大規模ビルの供給が続いた名古屋市でも、市況の改善から空室率は2006年から2008年のファンドバブル期をも下回っています。
オフィス市況の活況の要因として、日本経済と企業業績の回復に対応した事務所の新設や拡張、郊外や自社ビルから中心部への移転、築古ビルからの耐震性やBCP(事業継続計画)を考慮した築浅大規模ビルへの移転といった活発な需要に加え、東京以外の都市では建築コストの上昇などから新規供給量が過去と比べて少なくなったことでホテルや住宅への建替えが増加していることも、要因となっています。

図表1:主要都市の大規模ビル空室率の改善
予想を大きく上回る東京におけるオフィス需要の強さ

地方主要都市とは異なり、東京では2018年と2020年にオフィスビルの大量供給があります*。このため、供給超過に伴う市況悪化への懸念が高まっていました。しかし、その懸念は2017年夏頃から大きく減退し始めています。
そのきっかけとなったのが、延べ床面積18万㎡で2017年最大の新築ビルだった「赤坂インターシティAIR」です。2017年の初めまでは内定率が低かったのですが、初夏の頃から成約が続き、8月の竣工時にはほぼ満室になりました。
今後、供給されるビルに対しても、グーグルやアマゾン、ミクシィなどのIT系企業を中心に拡張移転が続いています。都心の新築大規模ビルへの需要の強さは、分散している事務所やグループ企業の集約、1フロアへの集約、立地改善、BCP対応などの目的も多いためです。2017年に顕著になったのは、人手不足の深刻化から、都心部の著名な大規模ビルに移転することで企業ステイタスを向上させ、採用面での強化を図るという動きで、これも都心大規模ビルの需要を押し上げています。

2018年のオフィス市況の見通し

地方主要都市のオフィス市況は、供給の少なさと企業によるオフィス需要の強さから、2018年も引き続き好調が続くと考えられます。
東京でも、2018年以降に供給される大規模ビルでは、大手町や日本橋、日比谷、渋谷などを中心に、高い内定率の物件が目立っています。
では、このまま東京のオフィス市況は、空室率の低下と賃料の上昇という好調が続くのでしょうか。ニッセイ基礎研究所では、オフィス需要の強さが続くとしても、供給量の多さから若干の調整は避けられないと考えています。弊社の予測によると東京都心部Aクラスビルの空室率は、都心周辺エリアにおける新規供給の拡大に伴い、空室率は2017年Q3期の2.6%から2018年下期には4%台へと上昇します(図表2)。
ただし、深刻な悪化といえるほどの状況ではありません。特に、大手町や日本橋では満室竣工が予定されているビルが多いため、当面、市況は悪化しない見通しです。これらの新築ビルに入居する企業の移転が本格化する2018年の冬頃から、移転元となる周辺部での二次空室が徐々に顕在化する可能性が高いと思われます。
企業業績の好調や人手不足に伴う都心部でのオフィス需要の拡大は2018年も続くと考えています。また、2020年東京オリンピックの建設事業や、2019年の消費税率の引き上げ前の駆け込み需要などもオフィス市況の下支え要因になるでしょう。

図表1:東京都心部Aクラスビルの空室率見通し(2017.7推計)

*参考記事:ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラムvol.1「オフィス市況の動向と開発が続く注目エリアへの期待」
http://www.officenomura.jp/mail/column/new/1.html

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