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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム 2018年の大量供給は
東京のオフィス市況にどう影響するのか

金融研究部 不動産市場調査室長 竹内 一雅
執筆者 金融研究部 不動産市場
調査室長 竹内 一雅
大量供給による市況悪化への懸念の一方で好調が続くオフィス市況

2018年から2020年にかけて東京都心部ではオフィスビルの大量供給が計画されています。本年2月号のメルマガ「オフィス市況の動向と開発が続く注 目エリアへの期待」でも言及させていただきましたが、2017年の半ばを過ぎ、2018年が近づくにつれ、しだいに大量供給による市況悪化への懸念が高まってきているようです。

その一方で、本当にオフィス市況は悪化するのか?との思いも強くなっているように感じます。というのも、現在のオフィス市況が極めて好調だからです。 大手仲介会社の三幸エステートさんと弊社で公表している、東京都心部に立地するAクラスビルのオフィス成約賃料は、2017年第2四半期(4月~6月) に前年比+9.9%(前期比+4.1%)という大幅な上昇となりました。2015年第3四半期をピークとしてその後は頭打ちで推移し最近はわずかな下落傾向だったところからの急上昇でした。新築ビルの供給により2期連続で悪化していた空室率も3.2%まで低下しました(図表参照)

都心Aクラスビルの成約賃料(オフィス・レントインデックス)
好調な新築大規模ビルの成約率・内定率

Aクラスビルの賃料上昇や空室率の下落は、テナントによる強いオフィス需要を反映したものです。例えば、今年2月に竣工したGINZA SIXは昨年10月頃まで内定率は20%程度でしたが、現在は80%を超えていますし、まもなく竣工が予定されている赤坂インターシティAIRの内定率は昨年末頃まで0%でしたが、現在は竣工前にも関わらずほぼ満室となったようです。

こうしたオフィス需要の拡大には数々の要因が重なっています。例えば、企業業績の好調を背景としたIT系企業などの拡張や、分散したオフィスやグループ企業の集約、ワンフロアへの集約による業務の効率化、BCP対応の必要性、老朽化した自社ビルの売却と賃貸ビルへの移転、人手不足の中で採 用面でのイメージアップのための都心部や大規模ビルへの移転、ビル再開発のための移転などです。

大量供給に伴う当面のオフィス市況の見通し

では、2018年からの大量供給により、オフィス市況はどのように推移するのでしょうか。 今年中はオフィス市況の好調は続くと考えられます。11月に竣工予定の、今年供給される最後の大規模ビルである目黒駅前の再開発ビルに、アマゾンジャパンが約6千坪を賃借して入居するという報道がありました。 しかも、移転ではなく増床ということであり、二次空室(移転元のビルに空室が発生すること)の懸念もありません。

2018年に入っても、需要の強さから当面は市況が大きく悪化することはないでしょう。とはいえ、2018年から2020年にかけての供給量は大量です。20 18年半ば以降の市況の小調整は避けられないと思われます。ただし、2019年の供給量が前回の見通しよりも少なくなると見込まれていることから(図表参照)、市況の底はより浅くより後ろにずれるなど、調整は緩和されると考えられます。

大規模オフィスビル供給量見通し

2018年からの大量供給は、都心3区に加え、渋谷区や品川区などへの集中がみられます。このため、新規供給が集中するエリアや新築ビルにテナントを奪われやすいエリアやビルなどでは、一時的に調整幅が大きくなる可能性があることに注意が必要と思われます。

オフィスビルの新規供給は、都心部のビジネス地区の更新でもあります。新築ビルの多くはオフィスだけでなく、商業施設やホテル、住宅などを併設することが多くなっています。また、過去3年間、都区部では外国人人口の急増もみられます。都心部でのオフィスビルの大量供給が、経済のグローバル化の中で、ビジネス拠点・商業地区としての中心性やにぎわいをさらに増大させ、より高いオフィス賃料・より低い空室率をもたらすことを期待したいと思います。

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