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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム オフィス市況の好調はいつまで持続するか
~Jリート市場が示唆する市況の転換時期~

金融研究部 主任研究員 岩佐 浩人
執筆者 金融研究部 主任研究員 岩佐 浩人

2012年12月にスタートした「アベノミクス景気」は、今年3月に「バブル景気(86年~91年)」を抜いて戦後3番目の長さとなりました。さらに今年9月まで拡大局面が続くと、「いざなぎ景気(65年~70年)」の57ケ月を超えて戦後2番目の長さとなります。

こうした景気回復を背景に、東京のオフィス市況も改善が続いています。三鬼商事の発表によると、5月の都心5区オフィス空室率は前年比0.64%低下の3.41%となり、平均賃料は41ケ月連続で上昇しました。最近は新宿区の好調さが目立っており、都心5区では唯一空室率が2%を下回り直近1年間の賃料上昇率は最大を記録しています(図表1)。

東京都心部のオフィス空室率の推移

それでは、現在のオフィス市況の回復はいつまで持続するのでしょうか。日本不動産研究所の「不動産投資家調査(2017年4月)」によると、現在の状態が「2020年以降も続く」との強気の回答は3%にとどまり、大多数ははいずれ転換期がやって来ると見ています(図表2)。一方で、好調期の終了タイミングについて回答は割れており、「今年まで」が17%、「2018年」が35%、「2019年」が17%、「2020年」が28%となっています。なお、「2018年」と「2020年」の回答が多い理由は、オフィスの新規供給がこの時期に集中し需給の悪化を懸念したためだと思われます。

オフィス市況見通し「現在の状態がいつまで続くか」

ところで、“炭鉱のカナリア”という言葉をご存知でしょうか。これは、「カナリアは絶え間なくさえずっていますが有毒ガスを察知すると黙る習性があります。ガス探知機などない時代に炭鉱で働く人がカナリアを連れて炭鉱に入った」という話から、「危険の予兆を知らせること」を意味します。

Jリート市場(不動産投資信託)は不動産市場の変化に先行して動く特性があるため、不動産市場の潮目を予見する“カナリア”の機能があるとされます。例えば、前回の「不動産ミニバブル期」では、オフィス賃料(青線)は2008年8月にピークを付けました(図表3)。これに対して、Jリート市場全体の値動きを表わす東証REIT指数(赤線)はオフィス賃料に先立って2007年5月に最高値を付けています(第1のサイン)。

東京REIT指数と東京オフィス賃料の推移

もっとも、株価がピークを付けたかどうかをその時点で判断することは難しいと言えます。そこで、東証REIT指数が保有不動産の評価額から算出される解散価値(NAV、黒点線)を上から下へと突き抜ける時点を「デッドクロス」と呼んで第2のサインとした場合、2008年1月に市況の悪化を示唆していたことになります。

それでは現在のJリート市場はどうでしょうか、確認したいと思います。東証REIT指数は昨年4月に高値を付けた後、調整局面が1年以上続いています(第1のサイン)。しかし、第2のサインである「デッドクロス」は生じておらず、依然として解散価値を10%程度上回る水準を維持しています。このようにJリート市場の声に耳を澄ませる限り、今後のオフィス市況について楽観は禁物なものの直ちに悪化に転じることはないと言えそうです。

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