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ニッセイ基礎研究所×野村不動産オリジナルコラム

オフィス市況の動向と開発が続く注目エリアへの期待

執筆者

金融研究部 不動産市場調査室長

竹内一雅

次々に竣工する大規模オフィスビル

東京・大手町では1月末に「大手町パークビルディング」が竣工しました。
夏頃にはシティバンク銀行が分散したオフィスを集約し、数千坪を賃借して入居することを発表しています。
また、松坂屋銀座店跡地に建設された「GINZA SIX」のオフィス部分の入居も2月から始まる予定です。
このように、東京をはじめ大都市の都心部では近年、大規模ビルが次々と竣工しています。
それらの多くは商業施設などの機能を備えた複合開発であり、周囲でのホテルやマンション開発の進展とともに、都心部での人の流れを変える役割を果たしています。
都心部での大規模ビルの建築は東京を中心に2018年以降、さらに拡大する予定となっています。

市況改善が続く国内のオフィス市況

都心部における活発なオフィス開発は、国内オフィス市況の活況を背景にしています。
三幸エステートによると、東京都心部の大規模ビルの平均空室率は、最も低い渋谷区の1.05%から最も高い港区でも3.16%と、ほぼ空室がなく、ビル内の館内増床もままならない状況となっているのです。
東京のオフィス市況では、空室率の低下に伴い、賃料の上昇も続いており、募集賃料を見ても2012年~2013年の底値からすでに10%~20%の上昇となっています(図表)。
空室率は、東京だけでなく大阪や名古屋など地方主要都市でも大きく改善が進んでいますが、賃料は、地方主要都市では代表的な大規模ビルでの上昇がようやく本格化し始めた段階です。

東京では2018年以降の大量供給で一時的な市況悪化の恐れ=移転のチャンス

市況の改善と金利低下等の投資環境、さらには国家戦略特区等による政策の後押しを背景に、都心部では大規模ビルの開発がさらに活発化する見込みです。
2017年は過去平均の7割程度と少ないのですが、2018年からは、過去平均の2割から4割近い増加となります。(図表)
2018年以降に竣工予定のビルへの入居計画も次々発表されており、需要の来年以降への先送りにより、空室率改善の勢いが落ち着きはじめています。
2018年以降の大量供給は、一時的に市況を悪化させ、賃料を多少低下させる可能性が高いと思われます。
ビルオーナーにとっては大きな問題ですが、テナントにとっては、移転のチャンスとも言えるでしょう。
築古ビルからの転出や、立地の改善、BCP対応、分散オフィスや分散フロアの集約などがしやすくなると思われます。
森ビルの調査によると、近年、移転理由として低下し続けていた「賃料の安いビルに移りたい」という回答が、東日本大震災後初めて上昇に転じるといった、賃料が安いビルへの需要の高まりも、賃料下落時の移転を後押しするのではないかと思われます。

開発が進むエリアでの中心性の拡大に期待

今後、東京で大きく開発が進むエリアとしては、2017年から2027年まで続く渋谷駅前の大規模再開発が第一にあげられるでしょう。
さらに、大手町、日本橋、虎ノ門、浜松町などでも今後の数年間に大規模なビルの竣工が続きます。
地方の中心都市でもJR駅前などを中心に大規模開発が進んできました。
これらのエリアの多くでは、オフィスだけでなく、商業やホテル、マンションの開発も期待されています。
日本の総人口はまもなく、本格的な減少時代に入ります。
そうした中でも、開発が続く注目エリアでは、供給過剰により一時的にオフィス市況が悪化したとしても、多くの人々の流入が促されることによる新たな魅力の創出や中心性機能の拡大から、今後もオフィス地域としての成長が続く可能性が高いと考えられます。

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